2024/09/12 18:38
包丁屋として皆様に良い包丁を紹介しているのですが、一般のお客様は何が良くて何が悪いのかがわからないのではないでしょうか。今回は違った視点で説明してみたいと思います。
良い包丁を見抜くためのポイントはいくつかありますが、わかりやすいのは包丁の芯材が何なのかということでしょう。新品をお買い上げする際はそれがなんであるか記載されていますので、調べれば納得したお買い物が出来そうです。しかしメルカリなど中古で手に入れたりする場合もあると思います。その時はパッケージもない場合もほとんどで、その包丁の良し悪しはどこで判断していいのかわからなくなってしまいます。
そんな時に一つの判断材料をお教えします。ハンドルのほうをご覧ください。通常ご家庭用の洋包丁は上記の写真のようになっています。(和包丁を除く。)ここで注目することはその包丁に口金があるか、ないかということです。もちろんあるほうが良い包丁です。さらに言えばこの口金につなぎ目がないということが大事です。口金はあるがつなぎ目もあるというのは一昔前や、安い包丁である可能性が高いです。口金にはハンドルへの水の侵入を防ぐ効果と、洗いやすさによる衛生面を高める効果があるとされます。つまり継ぎ目があればその効果が激減することは間違いありません。
そしてもう一つ大事なことは中子といわれるハンドルの金属部分の形状です。この形状は大きく3通りに分類されます。本通し、背通し、半中子です。背通し、半中子は金属部分がハンドル形状と同じになっていなく、中途半端になっています。さらに3本の鋲ではなく2本の鋲で止めているものがほとんどです。しかし本通しは写真のように金属部分が完全にハンドル形状と同じであり、もっとも耐久性に優れるわけです。
すぐれた口金、ハンドルには複数の工程や職人の技が必要になります。それはつまり価格に反映され、お高くなるわけです。切れ味がすぐに衰える素材を芯材に用いた安い包丁に、良いハンドルをつけるでしょうか。私が生産者であるならば、そのような経済合理性のないことはしません。良いハンドルには良い刃がつけられ、悪いハンドルには悪い刃をつけられる。そういう世界なのです。
サムライナイブスがラインナップする洋包丁「哲弘」は写真のように本通しハンドルを採用し、芯材にはV金10号を使用しています。手抜きをすることのない丁寧な技の結晶であるといえるでしょう。エンドユーザーの皆様にも良い包丁を見抜くために少しの知識は必要と考えます。自分の包丁に愛着を持つためにも大事なことでしょう。料理を愛する人はその道具にも同じ愛を持つはずです。すばらしい包丁と出会ってください。
哲弘 V金10号割込み 万能170㎜⇒https://samuraiknife.base.shop/items/85388064